令和6年11月1日(金)、本校は創立三十周年を記念し、記念講演会を開催いたしました。今年で31年目を迎えた本校は、これまでの歩みを振り返り、未来への新たな一歩を踏み出す機会として、この記念すべきイベントにフォトジャー
ナリストであり、認定NPO法人Dialogue for People(D4P)副代表を務める安田菜津紀さんを講師にお迎えしました。「共に生きるとは何か―難民の声、家族の歴史から考えた多様性―」を題にした講演は、多様性や共生をテーマとし、私たち一人ひとりが持つ可能性と、共に生きることの意味について考えさせられる貴重な内容でした。
講演会に先立つ開会行事では、校長先生及び創立三十周年記念事業実行委員長の同窓会長様よりご挨拶がありました。次に、全校生徒が協力して制作した本校校舎のモザイクアートが披露され、校歌の斉唱では、生徒たちの清らかな声が講堂に響き渡り、式典全体が一体感と感動に包まれました。
安田さんは現地で取材された難民の方々の実情について、カンボジアやシリアなど各地の写真とエピソードを交えながら、私たちが日頃目にすることのない生活や苦労、また新たな生活基盤を築こうと努力する姿についてお話しくださいました。「遠くの問題に見えても、世界は地続きであり、支援は誰にでもできる」とのメッセージは、生徒たちの心に深く響いたことと思います。
講演後、生徒たちの質問に一つ一つ丁寧に答えてくださいました。質疑応答を通じて、生徒たちは難民問題に対する理解をさらに深め、将来の自分たちの在り方について真剣に考える姿が印象的でした。講演後のアンケートには、「世界では紛争や貧困だけでなく、連鎖的に悪い事態が発生していることを知った」「情報化が進んだ現在こそ、世界のことをもっと具体的に知らなければ」といった感想が寄せられ、さらに「ニュースで見るだけではわからなかった現地の状況が少し理解できた」といった声も聞かれました。
安田さんが語ってくれた難民支援や共生社会の在り方についてのお話は、私たち全員にとって特別な学びの時間となりました。三十周年という節目にあたる本校にとっても、地域に根ざしつつも世界に目を向け、「Think Globally, Act Locally」というESD教育の理念を改めて心に刻む一日となりました。今後も、これまでの伝統を受け継ぎつつ、日々の教育の中で、多様性を尊重し「共に生きること」の重要性を生徒たちとともに考え、未来を見据えた教育の在り方を追求してまいります。
生徒の声
〇世界のどこかで苦しんでいる子どもたちがいることに深く心が痛んだ。安田さんの話を聞いて、実際に現地の人とコミュニケーションをとってみたいと強く感じたため、機会があれば海外に行きたいと思った。行動範囲を広げると同時に、視野も広げて様々な場面から学びを得られる人になりたい。
〇日常の中でその国を感じることは確かに重要だと思った。私も自分のできる範囲で他の国のことを知り、そこから少しでも多くの国に目を向けるようにしていきたい。
〇ヘイトスピーチの話については衝撃を受けました。国籍が違っていても同じ人間であり、辛い環境から抜け出してきた人たちに対し、助けの手を差し伸べるわけでもなく、差別をしていたことにすごく残念に思いました。私はいつまでも日本には安心で安全な国でいてほしいからこそ、難民として日本に来た人などどんな理由であれ、日本に来た人たちを歓迎したいし、私に出来ることなら救いの手を差し伸べたいと思いました。
〇私は今まで「難民」という言葉をたくさん聞いてきたけれど、詳しく知ろうなどとは思わず無関心でした。今回の講演で、今までよりもっと詳しく「難民」について知ることができ、自分が思っていたよりもすごく大変なことになっていると感じました。安田さんが写真を通して私たちに伝えてもらったことを家族だったり、友達に少しでも伝えることが出来たらいいなと思いました。
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